新しいパソコンでも、できることが変わらないならば。(インタビューから第2部)

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——なるほど。レアメタルとかを取り出すというようなことになると、なかなか素人にはできそうもないなと思ったりするんですけれど、どのようなメンバーのみなさんで活動されているんでしょうか。

設立した発起人と現在の役員は、パソコン修理の専門会社とか、使い終わったパソコンを回収する業者とか、廃棄物処理の全般に詳しい研究者とか。

それから、パソコンを廃棄するときには、データの消去が欠かせないわけですよね。
特に役所や学校など公的な機関で使われたパソコンなどは、念入りに行うことが求められます。そのため、データ消去の専門家にも入っていただいています。

ですが実際のさまざまな活動は、役員のみなさんだけではできないので、それぞれが経営してる会社の従業員のみなさんにも、ご協力をお願いしています。

——その後に、専門の技術者が分解して、家庭ごみに例えると分別するような作業になるのですか。

そうです。古くなって使用済みのパソコン、いわばゴミにしかならないパソコンを資源化するためには、分解と金属やプラスチックなどの分別作業がどうしても必要なんですね。細かい仕事なんですよ。

これは障がい者のみなさんにお願いしています。
一般的には、単純作業でかつ儲からない仕事を嫌がってしまいがちですが、障がい者には適性のある人、向いている人がたくさんいるんですよね。
彼ら彼女らに何十種類にも分別してもらうんです。そうすると、1台いくらかで資源再生事業者に買ってもらえる、言い換えると資源として売れるので、彼らの給料にしていただくという活動も行っています。

——そうですか。振り返ると、自宅にも私が過去に使ってきたパソコンがそのまま置いてあったりして、どう捨てればいいんだかわからないというか。
でもそういう話を聞くと、個人情報もちゃんと消されて、有効に活用してもらえるんだったら、お願いしたいなと思います。こうした活動を、仙台に限らず、東北各地で展開されているように資料を拝見しましたけれど。

はい。使用済みのパソコンを回収することでいうと、複数の自治体から、こんなオーダーがあるんです。

市内の小中学校それぞれに、もう使わなくなったパソコン、使ってるパソコンじゃないですよ、使わなくなったパソコンが3,000台あるから、これを何とかしてほしいというご要望。
何とかしてというのは、回収し、適切にデータ消去して、できるなら資源化してほしいということです。

それらを適切に対応できる事業者は、東北地方にはほとんどありません。
しかもいずれの自治体も予算に余裕がありませんから、できるだけコストを抑えたい。当法人では、そのためのノウハウも開発しました。

まだ団体としての活動を始めたばかりですから、当法人の所在地の宮城県が中心になっています。将来は東北地方全域に広げたいと思って、団体の名称に「東北」をつけてます。

——なるほどそうなんですね。市民向けに「パソコン高速化セミナー」を頻繁に開かれているということですが、それは私のようにパソコンに詳しくないものでも、その場で速く動かすことができるようになるってことなんでしょうか。

遅くなったパソコンを速くするというのは、簡単ではないんですよ。 

これまで数百台ぐらいのパソコンを預かって整備してきましたけれど、パソコンを起動するのに30分かかるようになっちゃったというような重症も少なくありません。
これを高速化、少なくとも新品で購入したときの状態にまで戻すためには、1分くらいにしなくちゃいけないわけですよね。

そうなるとね、ちょっと調整したぐらいではできません。
ちょっと詳しい人のために言いますと、ハードディスクをSSDに交換して、データを移行するというふうな作業が必要になってきます。

説明会では、できるならみなさんご自身でやってくださいねとやり方を簡単には説明するんですけど、残念ながらうまくいってる人が少ない。失敗しちゃう。

裏のほうからネジを外してパソコンを開けて、部品を入れ替える作業も必要になってくる。私達の技術者に依頼しても、2日3日かかっちゃうくらいたいへんな作業なんです。
また、自信のない人が多いので、当法人が整備を引き受けています。市価よりずっと安価ですが、有償です。

そのまま使えるってどういうことか。
例えば、スキルに自信のない高齢の方に、新しいパソコン買ったらどうですかとお勧めしたとしても、もう一度設定をいちからやり直すってことを嫌がるんですよね。気が遠くなるような作業に思えるんでしょうね。しかもパソコンは高価です。

いま使っているパソコンを預かって整備します。そうすると、起動は30分が1分以内とたいへん快適になって帰ってくる。しかも、データやソフトや設定はそのままなので、使い勝手も変わらない。そんな技術サービスを開発しましたので、それを普及させていきたいということですね。

それで、パソコンを買い替えずに、捨てずにそのまま使える。
古いパソコンが最新のものになる。
サービスを利用したみなさんには喜んでいただいています。

(ここで男澤の好きな曲のリクエストタイム)

——後半は男沢さん個人に焦点を当てて、お話を聞いていきたいと思います。このテーマに関心を持って活動するようになったきっかけはどういうことだったんでしょうか。

別の会社として、再生パソコンの製造業を経営しています。
パソコンやスマホというのは精密機械で、しかも大量の資源が使われて製造されています。
ところが、数年でポイポイ捨てられてしまう。

調べていくと、地球温暖化の原因としてとても影響があるということがわかりました。

ところが、資源化するための使用済パソコンの回収がほとんど進んでいない。国内でもそのための法律がありますが、実際はあまり機能していないので、現実にはたいへん心もとない。
東北地方でも年間数百万台のパソコンが使われなくなるんですけれど、そのうち回収が1割程度なんですよ。きちんと集めれば、貴金属とかレアメタルを回収できるのに。

冒頭にお話しましたが、ひとつ鉱山を崩すために、多くの労働者や施設や燃料をたくさん投入して、ようやくほんのわずかな金属を手に入れる。
また、それは自然破壊や貧困層の労働搾取、民族紛争の資金になるといった驚くべき問題とも無縁ではありません。

そんなことをしなくとも、使用済パソコンやスマホを回収して、その中から化学処理をして、金属を取り出すほうが合理的だ。これを「都市鉱山」といいます。
地元である東北地方からこういった活動を広げていこうというふうに考えました。

それともう一つ、私ごとですが。
さっきリクエスト曲の紹介のときにお伝えしましたけれど、1年前に、自宅で階段から落ちて頭を打ち、脳障害となったんです。

1ヶ月間意識不明じしたが、お医者さんや看護師さんのおかげで、奇跡的な復活だったようです。家族にもたいへんな心配と迷惑をかけてしまいました。

そんなわけで、カラダとアタマのリハビリにがんばりながらも、人生についてもじっくり考える機会になり、あれこれたくさん後悔もしました。これまでなんのために生きてきたのか、わからなくなりました。

還暦を過ぎた私が、あと10年くらい社会でがんばっていくとしたら、何をしたらいいのかなと考えたときに、やっぱり世の中の役に立つようなことをしたいなと思い、この事業を本格化したということです。
ある名著には「あなたが何をできるかではなく、人生があなたに何を望んでいるのか」とありました。

——そうだったんですね。活動のなかで、いろんな方と連携したり、あとは相談に来られる方たくさんの関わりがあると思うんですけれども、何か印象に残ってるエピソードがありましたら教えてください。

まず、さっきお話したパソコンを回収して資源を取り出す作業では、障がい者のみなさんが、毎日一生懸命働いていただいているので、頭が下がる思いです。
たまに現場に行きますけれど、私にはとても真似のできない仕事をやっていただいてると思います。
根気強く毎日毎日分解に取り組んでいただいています。

それから、あるシングルマザーの女性。フルタイムの仕事に就くために、パソコンを復習したい。ところが、量販店に行って価格をみると、とても手の届く金額ではない。では、訓練用にと1年間の期間限定ですが、無償で貸し出ししました。

さっきの復活高速化では、こんな人たちがいましたよ。
80代の男性は、ふつう紙で解くパズル「数独」が趣味なんですが、エクセルに記録しています。遅くて困っていたのですが、これで生きがいが復活したと。
また60代男性はパソコンに1000曲くらいの音楽をデータ化していて、夜ひとりでブランデーを傾けながら聴くのが好き。これも復活したら、今日から酒がうまい!と。
50代女性は、学校勤務する学校のパソコンが最新のものになったが、CDドライブがない。教材に長年貯めてきたCDが使えない。しかたがないから、自宅のパソコンを復活して、自宅で仕事できるようにはなったそうな。

写真:シニアは趣味にパソコンを活かしているようだ:「Me at the computer」 by Pat Gerber
(以下、第3部へ続きます)

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